第1回レポートの解答と講評

 第1回レポートの提出者は36名でした。4問のうち,問題2,3の正答率は非常に
 高く,桁落ちの回避法,二分法やニュートン法による非線形方程式の解法が理解
 してもらえたことがわかりました。反面,問題1では0捨1入を考慮しなかったり
 ケチ表現を忘れるなどの間違いが多くありました。問題4の(2)は,実質的に2変
 数のニュートン法の公式を導いてもらう問題でしたが,ちょっと難しかったようです。

 解答に代えて,非常に力作だった宮田孝史君のレポートを載せておきますので,ぜひ
 見てください。なお,各問の考え方,間違いが多かった箇所などを以下にまとめて
 おきます。


 問題1

 (1) 正答率 72%
 1は2進浮動小数点表現で0.1×2^1(^はべき乗を示す)と表されます。仮数部がt桁
 のとき,1と足して0捨1入を行ったとき,結果が1より大きくなる最小の数は,仮数部
 の最初に0がt個続き,次が1で,指数部が2^1となる数です。これは2^{-t}であり,単
 精度では t=24 なので 2^{-24},すなわち約 5.96×10^{-8} となります。

 解答では,0捨1入を考慮せずに,2^{-t+1}とした人,仮数部がケチ表現されることを
 考慮せずに t=23 としてしまった人が多く見られました。

 (2) 正答率 67%
 上記(1)と全く同じ考え方で,倍精度ではt=53であることを使います。


 問題2

 (1) 正答率 100%
 授業でやった2次方程式の解の公式と同じ方法が使えます。

 (2) 正答率 92%
 三角関数の加法公式を使います。計算ミスのほかは,ほとんど正解でした。

 (3) 正答率 92%
 分子の有理化を2回行います。1回だけだと,まだ分子の計算で桁落ちが生じてし
 まいます。


 問題3

 (1) 正答率 83%
 ニュートン法の一般公式を導いただけの人が何人かいましたが,ここではaの平方
 根を求める反復式を要求しているので,具体的に f(x) = x^2 - a を代入した反復式
 を書いて欲しかったです。

 (2) 正答率 100%

 (3) 正答率 100%
 両問とも良くできていました。2つの解法の収束を比較して考察を行ってくれた人,
 計算に使ったプログラムを添付してくれた人も何人かいました。


 問題4

 (1) 正答率 97%
 複素数の場合でも,関数f(z)をテイラー展開して一次関数で近似することにより,
 同じ形の反復式が導けます。

 (2) 正答率 42%
 半数以上の人が,(1)で導いた式に z = x + yi を代入したところで止めていました。
 しかし,そのとき出てくる f' というのは,f(z) の z に関する微分なので,これをその
 ままにしておいては,xとyに関する反復式として完全に書き直したことにはなりま
 せん。そこで,f(z) = u(x,y) + iv(x,y) と置き,z に関する微分を x, y に関する微分
 で書き換える
ことが必要です。さらに,両辺の実部と虚部とをそれぞれ等しいと置く
 ことにより,x,y それぞれに対する反復式を導きます。


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